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◆「中止表明」トレンド入り
東京五輪開幕まで66日となった。しかし、機運が高まらず、複数の報道機関による世論調査で「中止すべき」との意見が大半を占めている。
五輪開催に向けては逆風が強くなっている。新型コロナウイルスの感染者は全国的に増加傾向にあり、緊急事態宣言の対象地域は、これまでの東京都や大阪府に北海道や広島などが加わって9都道府県に拡大された。
今月9、10日に佐賀県で行われた聖火リレーでは、関係者から3人目の感染者が判明した。聖火リレー関係者の感染は、全国では11人目となった。東京五輪の事前合宿も全国で中止が相次いでいる。
こうした状況に、五輪中止を求める声は大きくなっている。そして、国民の関心は、開催か中止かの最終判断はいつなのか、中止になるとしたら口火を切るのは誰なのかに集まっている。インターネット上では「中止表明」がトレンド入りした。
最終判断の時期の可能性とみられているのが6月1日。テレビ局の政治部記者は「緊急事態宣言の期間が5月31日に迫っているが、感染者が大幅に減る要素がない。今の状況では緊急事態宣言の延長が避けられないものの、同時に緊急事態宣言の効果も薄くなっている。国はワクチン接種にすがるしかないほど追い込まれている。再び緊急事態宣言を延長するタイミングで、五輪中止を口にする人が出てくるのではないか」と予測する。
◆”第一声”の本命は小池都知事
そして、その“第一声”を上げる大本命に小池百合子都知事の名前を挙げ「小池都知事の周辺からは、都内の感染状況からも民意からも、すでに開催は難しいという声が漏れている」と話す。
東京都議選の告示が6月25日に迫っていることから「世論を掴むのが上手い小池都知事が、五輪中止をカードに切ることは十分に考えられる。世論調査では中止を望む国民、都民が大半を占めているので、例え五輪を政治的に利用したとしても、中止の決断をしたことの方が評価される。今、支持される政治家は決断できる人」と読んでいる。
五輪開幕が約2カ月後に迫る中、政府も組織委員会もIOCも中止に触れられない“チキンレース”となっている。開催か中止か。いつ、誰が踏み込んだ発言をするのか注目される。
スポーツメディア「New Road」編集部
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