日本相撲協会が定める新型コロナウイルス対策ガイドラインに違反したとされる大関・朝乃山について、地元・富山市の「呉羽地区自治振興会」が処分の軽減を求める署名活動を行っている。スポーツ紙の報道によると、署名は、すでに9000人分が集まっているという。
朝乃山は夏場所2日前の今月7日の深夜、緊急事態宣言が発令されている東京都内の接待を伴う飲食店に出入りしていたと、文春オンラインに報じられている。日本相撲協会のガイドラインでは、全ての協会員に対して不要不急の外出自粛を求めており、場所の番付発表後からは原則外出を禁止している。
この報道に対し、朝乃山は相撲協会の聞き取りに最初は「事実無根」と否定していたが、その後の聞き取りで不要不急の外出を認めたという。朝乃山は夏場所を12日目から休場した。
朝乃山の処分を決める理事会は6月に開かれる予定だが、地元・富山市の自治振興会は、その前に署名と嘆願書を協会に提出する意向だ。嘆願書には「反省した姿を見せるのも相撲しかない。寛大な処分をお願いします」と記されている。
朝乃山は西前頭8枚目だった2019年の夏場所で初優勝。富山県出身の力士が賜杯を手にしたのは、横綱・太刀山以来、103年ぶりだった。その後も安定した成績を残し大関まで駆け上がった。
地元は大きな期待を寄せているだけに、今回の行動には「気持ちは分かる」と理解を示す一方、違和感を持つ人も少なくない。
相撲ファンや富山県民からも「本来の目的から外れた署名活動や嘆願書のような印象を受ける。本人がガイドライン違反を認めているのであれば、適切な処分を受けるべき」、「対戦した力士や他の部屋の関係者に迷惑をかける行動。地元だからこそ厳しさが必要で、処分があけてから全力で応援した方がいい」、「優しさと甘さは違う。処分軽減を求めるのは朝乃山への甘やかし。本人のためにも地元のためにもならず逆効果」といった声が上がった。
角界では昨年7月、場所中に阿炎がガイドラインに違反して接待を伴う飲食店位出入りして、3場所の出場停止と5カ月の報酬減額50%の処分となった。また、今年1月の初場所中には、先代の時津風親方がマージャン店を利用するなど、度重なるガイドライン違反で協会から退職勧告処分を受けている。
朝乃山の処分軽減を求める署名活動に賛同を得られない背景には、こうした角界の状況や、協会による最初の聞き取りで虚偽の報告をしていたことがある。
スポーツメディア「New Road」編集部
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