東京五輪の聖火リレーで、静岡県のルートが変更される。当初は浜松市の北区から、市街地の中区を走る予定だったが、ルートは北区のみとなる。

 

このルート変更は、浜松市の鈴木康友市長が静岡県に要望したことによるものだった。静岡県の聖火リレーは6月23日から3日間行われる。県の実行委員会は、新型コロナウイルスの感染状況は基準を下回っていることから、予定通り実施する意向を示していた。

 

しかし、浜松市の鈴木市長は、中心市街地を通るルートは観客が密集して感染リスクがあることや、市街地で23日から始まるワクチン接種を受ける市民に影響があることから、県にルート変更を要望した。それを受け、県は中区での聖火リレーを中止する代替案を組織委員会に提出し、了承されたという。ルートは北区のみとなり、中区のランナー15人は全員北区を走る。

 

この浜松市長の要望に、浜松市民や静岡県民から矛盾を指摘する意見が上っている。その理由は、5月のゴールデンウィーク期間に、浜松市では市内最大のイベント「浜松まつり」が開催されたからだ。

 

新型コロナの感染リスクを考慮し、中心市街地でのイベントは中止されたが、祭りの象徴ともいえる「凧揚げ」は実施された。例年より人数は少なかったものの、多数で巨大な凧を揚げるため、密集は不可避。さらに、この期間は東京や大阪などに緊急事態宣言が出されていたが、凧あげ会場には東京からの来賓もいた。

 

そのため、新型コロナの感染リスクを理由に聖火リレーのルート変更を要望した鈴木市長に対し、「なぜ県外から人を招く祭りはOKで、市街地を走る聖火リレーがNGなのか、判断基準が分からない」といった違和感を持つ人が少なくない。

 

聖火リレーが北区のみになったことについて、鈴木市長は「ワクチン接種が佳境に入っていて、市民の皆さんの命を守ることが最優先される中で苦渋の選択だったが、最もいい選択をしていただいた。北区のコースは半島になっているので、半島の入口をしっかり警備すれば、安全に実施できると思う」と話している。

By New Road 編集部

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