暑い時期のスポーツでは、熱中症や脱水などの危険性が高まる。恐らく多くの競技者が、自分たちなりの対策を行って取り組んでいることだろう。今回、暑さによって起きる身体の変化やスポーツパフォーマンスへの影響などについて、トレーナーとしてジュニアアスリートからトッププロまでをサポートする菊池貴之氏にお話を伺った。
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暑い時期のスポーツで起こりやすい身体の変化
現在は野球を中心に、さまざまな競技でコンディショニングやトレーニング指導、動作分析、技術指導を中心に活動されている菊池氏。特にこの時期になると、暑さへの対策や熱中症など運動を行ううえで危険なこともあるため、それらの予防や対策なども実際の現場で指導させているという。では暑い時期に運動すると、身体にはどのような変化が起きるのだろうか。
「暑い時期に運動を行う際に起こる身体の変化として、5つのことが考えられます。まず、筋収縮によって起こる熱に、外部から取り込まれる熱が加わることで起こる体温の上昇。また、発汗量の増加によって、体内の水分や電解質の損失が増えることも挙げられるでしょう。さらに、心臓から血液をより多く体の表面に運び熱を放散させることで、心拍数も増加。このほか、体温調節や水分の損失によって疲労感が早く現れ、疲労感が増します。筋肉の収縮に必要なエネルギー量が増えることで、疲労が早まりやすいことも変化と言えるでしょう。」
身体が熱くなると、スポーツにおけるパフォーマンスの点でも影響が生じるという。
「大きく分けると、体温上昇による影響と脱水による影響があります。体温上昇による影響として挙げられるのは、主に疲労困憊に至るまでの運動継続時間の低下(持久力の低下)。深部体温が約40度になると運動ができなくなります。また、認知機能の低下(反応時間の遅延)もあり、体温が約39度になると認知機能が低下したり反応時間が遅れたり、判断力が低下したりします。そして、脱水による影響は、体温上昇を抑制するための熱放散を制限することによる、心臓循環系への負担の増大です。さらに、体重の2%以上の脱水で、身体の機能に影響が及びます。」
脱水が進むと、のどの渇きや食欲不振、痙攣、さらには生命の危機に至ることも考えられる。これらの要因により、スポーツパフォーマンスも低下してしまうことが考えられるのだ。
身体が熱くならないための対策
では厳しい暑さに対して、どのような対策が考えられるのか。これには、身体を外側から冷やす“身体外部冷却”と、内側から冷やす“身体内部冷却”という2つの方法があるという。
「身体外部冷却とは浴槽などを用いた冷水浴(アイスバス)やアイスパック、送風などを用いて、皮膚など身体の外部から冷却する方法です。外部冷却には伝導や対流による非蒸発性熱放散と、発汗による蒸発性の熱放散のしくみを利用して身体を冷却するものがあります。これに対して身体内部冷却は、冷たい飲料などを摂取して身体の内部から冷却する方法。内部冷却は皮膚や筋肉の温度を大きく低下させることなく、身体の内部(核心部)を冷却できる点が特徴です。最近は氷と飲料水が混合した、シャーベット状の飲料物であるアイススラリーの摂取が注目されています。」
さらに菊池氏によれば、感覚的な冷たさだけでも、スポーツパフォーマンスの低下を抑えられる可能性があると教えてくれた。
「暑さにさらされると、温熱感覚を強く感じることから快適性が下がり、主観的な運動強度が上がることで疲労感が上昇しやすくなります。また、集中力の低下によってパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともあるのではないでしょうか。そのため、例えば“ひやっとする”など感覚の変化においても、スポーツパフォーマンスの低下因子を軽減させることはできるのではないかと思います。」
菊池氏自身、独自技術によって汗と風が冷感を与えてくれる『フリーズテック』の製品を活用されているとのこと。炎天下の中で指導する場合でも暑さの感じ方が変わるので、感覚的には暑さによる疲労度や集中力の低下が軽減されているように感じるそうだ。
「気温の上昇によって熱中症などの事例を多く聞きます。スポーツ活動を行いにくい環境になってきてしまっていますが、一方で夏場に運動を行ううえでの注意点や対策などの情報も、多く得られるようになりました。スポーツ活動を行う際は、これらの知識を頭の片隅に置くこと。そのうえで、上手にモノを活用しながら、安全に実施していくことが大事だと思います。本格的な夏を迎え、暑い日が続きますが、安全に楽しくスポーツ活動を実施していきましょう。」
正しい知識を得たうえで、暑さからの影響を軽減できるウェアやギアなどを活用すること。これによって、夏場でも快適さをある程度は維持しながら、競技に取り組むことができそうだ。今回は菊池氏も活用されているフリーズテック製品の「フリーズテック 衣類用冷感ミスト 300ml」を、本記事をご覧の方々から3名にプレゼントとしてご提供いただいた。着るだけで冷たい感覚を得られる本製品で、快適な夏場のスポーツライフを送ってみてはいかがだろうか。
・製品公式サイト(フリーズテック 衣類用冷感ミスト300ml)
菊池 貴之(きくち たかゆき)
2006年より理学療法士として、整形外科クリニックで整形外科やスポーツ医学を中心に治療、リハビリテーション、トレーニング指導を実施。さらに院外の活動として、高校野球チームやプロバレーボールチームのトレーナーを兼務してきた。2012年より個人事業を開始し、2018年には株式会社form base japanを設立。一般の方々やジュニアからトッププロまですべての人を対象に、施術、コンディショニング、トレーニング指導、動作分析、技術指導などのサービスの提供を行っている。その他、講演、講習会における講師、企業や施設などへのコンサルティング、商品開発や研究など多岐に渡り活動。
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。