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◆セ・リーグDH制見送り

セ・リーグのDH(指名打者)制度導入は見送られた。昨年末に開かれたセ・リーグの理事会でもDH制を求めた巨人が、おとといの理事会でも再び提案したが、反対多数で不採用になったという。巨人は導入の目的に、新型コロナウイルスへの対応の一環として、投手の負担軽減を挙げている。

 

◆DH制でセ・パの差拡大?

理事会だけでなく、DH制はここ数年、度々議論になっている。昨年の日本シリーズが2年連続、ソフトバンクの4連勝で終わった時も巻き起こった。セ・リーグとパ・リーグの差が指摘された中、その理由で多かったのが「パワー」の違い。DH制のあるパ・リーグは「力強いスイングをする打者が育つ」、「セ・リーグのように投手の打順で気を抜くことができないので、パワー系の投手が育ちやすい」などという声が上がった。

 

◆剛腕揃いのソフトバンク

実際、ソフトバンクには150キロを超えるストレートで打者を圧倒する投手が多い。千賀滉大や石川柊太、リバン・モイネロに森唯斗。さらには、高橋純平や甲斐野央、杉山一樹と次々に名前が挙がる。

 

◆力勝負は「パ高セ低」

パ・リーグの他の球団にも、楽天の則本昴大やオリックスの山本由伸、西武の平良海馬らが顔をそろえる。5年前、10年前にさかのぼっても、ダルビッシュ有や田中将大、大谷翔平にファルケンボーグと、勝負どころでパワー勝負できる投手で思い浮かぶのはパ・リーグが多い。

 

◆速球と両輪「決め球の変化球」

こうした好投手にとって、力のあるストレートと両輪となっているのが、決め球となる変化球。150キロ以上のストレートがあるから、変化球が生きるというのはもちろんだが、変化球そのものの質も高い。そして、その理由の1つに、パ・リーグには変化球が磨かれる土壌がある。

 

◆ダル、田中、涌井ら情報交換

ダルビッシュや田中が日本球界にいたころ、オープン戦やオールスター、さらには公式戦の試合前でも、ユニフォームの違う投手たちが交流を深めていたのは圧倒的にパ・リーグが多かった。この2人や岩隈久志、涌井秀章ら各球団のエースが、時には若い選手を交えて、変化球の握り方やコツ、体の使い方などを惜しみなく情報交換していた。球界トップレベルの投手でも、探求心や向上心を持ち続けていることが、パ・リーグ投手陣の文化として根付いている象徴ともいえる光景だった。

 

◆過去10年でセの日本一は一度

過去10年間、日本シリーズを制したセ・リーグのチームは2012年の巨人しかない。パ・リーグにパワーのある投手が多い傾向は、1年、2年の短期間では変わらないだろう。しかし、セ・リーグはライバルの優れているところを受け入れて学んでいかなければ、同じ結果が繰り返されるのは目に見えている。

By New Road 編集部

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