陸上男子800メートルの元日本記録保持者で、監督として駒沢大を駅伝の強豪に育てた森本葵さんが2月28日、腹部動脈瘤破裂のため都内の病院で亡くなったことがメディア各紙で一斉に報じられた。享年81歳。葬儀・告別式は今月4日に家族葬で行い、後日にしのぶ会を開く予定だという。
森本さんは西ドイツに留学中の62年、アムステルダムの競技会で1分47秒4の日本記録を樹立。翌63年には日本記録を4度更新し、1分48秒1まで短縮した。さらに64年には1分47秒4をマーク。この記録は93年まで29年間破られなかった。同年の東京五輪800m代表に選出されて優勝候補に挙がったものの、直前に肝炎を患った影響で本来の力を発揮できず準決勝止まりだった。
66年バンコク・アジア大会を最後に現役引退。69年に駒沢大監督に就任すると、95年に大八木弘明コーチ(現監督)を招いて強化する。00年の箱根駅伝初制覇に導くなど、強豪の礎を築いた。
世界基準のアスリートとして活躍していたが近寄りがたい雰囲気を出すことはなく、物腰が柔らかく分け隔てなく接する姿で人望が厚かった。訃報が報じられるとヤフーのコメント欄には、「23年前、僕は陸上部ではありませんでしたが、駒大の体育の授業でお世話になりました。自分は当時、金髪でピアスをしていましたが、一生懸命ソフトボールをしていたら、とても褒められて気に入ってもらったのを覚えています。そして勝負に厳しくも優しい人という印象です。あの時はありがとうございました。とても残念ですが、ご冥福をお祈りいたします」、「駒澤大学で森本先生から体育を習いました。温厚で紳士、素敵な先生でした。ご冥福をお祈りいたします」、「体育の授業でお世話になりました。ちょうど、箱根駅伝の優勝が現実味を帯びてきた時期でした。体育の授業のみでの関わりではありましたが、今でも駒澤大学の駅伝ファンなのは、当時の森本監督のお陰です。ご冥福をお祈り申し上げます」など“教え子”たちからの哀悼の意を捧げる文章が数多く寄せられた。
大きな影響を与えたのは陸上界だけではない。森本さんの愛情は多くの人達に届けられている。
スポーツメディア「New Road」編集部
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