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◆ミスを無視すれば窃盗罪の可能性
今年、静岡市にある静岡競輪場で耳を疑うようなミスが起きた。窓口の女性職員が20万200円の当たり車券の払い戻しで、手渡したのは200万円2000円。現金を手渡す際に記入する伝票を1ケタ間違えたという。
職員は現金を渡した後、端末機に表示された払い戻しの金額を見てミスに気付いたが、現金を受け取った男性を見つけることができなかった。この時は混雑していて、本来、払い戻しの金額が正しいかどうかを2人以上で確認する作業を怠ったと説明している。
静岡市が過払い配当金を発表した翌日、男性が市内の警察署に申し出たため、差額の180万1800円は返還された。静岡競輪場は市が運営しているため、返金されなければ公金で穴埋めすることになっていた。また、もしも男性がミスに気付いていながら名乗り出なかった場合、窃盗の罪などが適用される可能性があった。
◆日常生活でも犯罪になることが…
ここまで大きな金額ではなくても、振込金額や買い物のお釣りを多く手にした経験のある人はいるだろう。大阪府寝屋川市では、新型コロナウイルス対策として国民一律に給付された10万円をめぐってミスがあった。市は昨年5月に、993世帯、2196人に対し給付金を二重に振り込んだと発表。総額2億1960万円の回収に追われた。同様のミスは、全国の自治体で起きている。
専門家によると、ミスを把握した上で現金を窓口で下ろした場合、銀行員をだます詐欺罪に問われる可能性がある。ATMで引き出せば、銀行が保有する現金を盗んだとして窃盗罪とされる。また、引き出した後に気付いても返金しなければ、占有離脱物横領罪になることがある。誤りに気付かず現金を使った場合は過失となるので罪には問われないが、今回の競輪場のミスはあまりにも高額。専門家は「気付かなかったと弁明しても、捜査機関に信じてもらうのは難しかっただろう」と指摘している。
スポーツメディア「New Road」編集部
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