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◆プロ初の実戦登板は3者凡退
ロッテの佐々木朗希が12日、中日とのオープン戦でプロ入り後初めて、実戦登板した。チームの育成方針から、プロ1年目の昨シーズンは2軍も含めてマウンドに立つことは一度もなかった。
初登板は6回からだった。2番手で登板し、京田陽太、阿部寿樹、ビシエドの主力を計12球で3者凡退に抑えた。4番・ビシエドはフルカウントから、152キロのストレートを投じ見逃し三振に仕留めた。外角いっぱいの剛速球に手が出なかったビシエドは、苦笑いするしかなかった。
上々のスタートを切った佐々木朗希について井口資仁監督は「堂々と投げていたという印象。ストライクゾーンで勝負できていた。コントロールを意識しながら投げて150キロを超えるくらいだから、だいぶ余力を残しているのではないか」と評した。再びオープン戦で登板させる考えだが、シーズン開幕後は2軍の試合でイニング数や球数を増やして育成する方針。指揮官は8日のラジオ番組で「夏場にしっかりローテーションに入ってくれたら」と1軍デビューの構想を明かしている。
◆他球団の評価と課題は
佐々木朗希の実戦初登板には、他の球団関係者も注目していた。パ・リーグのスカウトの1人は、潜在能力の高さや落ち着いたマウンドさばきを評価。警戒を口にしながら、現時点での課題も指摘した。特に高く評価した1球はビシエドへの3球目だった。空振りを奪った真ん中高めのストレートに「高めのストライクゾーンで外国人が空振りするのは、スピードだけではなく切れがあってボールの質が高い証拠。スピードガンで150キロを超えるストレートも、生きたボールでなければ簡単に打ち返される。他の打者もストレートを待っていても、ボールの威力に押されていた」と説明した。
一方、そのストレートは「未完成」とみている。うまく指にかからず、右打者の外角へスライダー回転するケースが何度かあり「短いイニングならごまかせても、先発をするのであれば修正能力が求められる。ランナーを背負ってセットポジションやクイックをすると、ストレートの制球が乱れそうな感じがした」と分析した。
また、投じた12球のうち、変化球が1球だけだったことについても「変化球の精度が、どの程度なのか分からない。本人が変化球に不安を感じているのであれば、いいストレートを持っていても投球を組み立てるのは難しい。長いイニングを投げる先発をするのであれば、なおさら変化球でストライクやファウルを取れないと厳しい」と課題を挙げた。そして、「ロッテとしては長い目で見てじっくり育てたいと思うが、他の球団からしたら中継ぎで1軍にいたら今の時点でも脅威になる」と本音を漏らした。
スポーツメディア「New Road」編集部
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