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◆サガン鳥栖 開幕4戦連続無失点

J1は連覇を狙う川崎フロンターレが開幕ダッシュに成功し、今シーズンも優勝候補の大本命となっている。ここまで5戦全勝。自慢の攻撃はもちろん、選手層の厚さも見せつけている。

 

そのJ1で同じく、いいスタートを切ったのはサガン鳥栖。昨シーズンは7勝15分け12敗の13位に終わったが、今シーズンはここまで3勝1分けの3位。特に、4試合で1点も許していない守備が好調な要因となっている。

 

無失点といっても、鳥栖は自陣に人数をかけて守備を固めているわけではない。チームの特徴は、相手陣地から守備をして高い位置でボールを奪う「ハイプレス」と後方からのビルドアップ。「ハイプレス」で攻撃の時間、敵陣でのプレー時間を増やすことで、失点のリスクを減らしている。14日の清水エスパルス戦は、日本代表GK権田修一の好セーブに何度もはばまれ、スコアレスドローに終わったが、4試合で計8得点を記録している。

 

◆「ハイプレス」支える走力

鳥栖のスタイルを支えるのが走力。1試合平均のチーム走行距離はリーグトップの125.723キロ。走力をベースに攻撃的サッカーを掲げる横浜F・マリノスの123.729キロを上回っている。鳥栖は5-0で圧勝した仙台戦の走行距離133.974キロをはじめ、4試合中3試合が今シーズンのリーグトップ10に入っている。

 

ハードワークが必要な「ハイプレス」がチームに浸透している要因の1つは、金明輝監督らが育てたユース出身の選手が多いことが挙げられる。中野伸哉や本田風智、樋口雄太、松岡大起ら生え抜き選手は戦術の理解度が高く、他の選手も年齢の若いこともあり走り抜く体力がある。

 

鳥栖は前節の清水戦で、1996年の横浜フリューゲルス以来、2チームとなる開幕から4試合連続で無失点を達成した。金明輝監督は試合後「選手たちはアウェイで僕たちのやりたいことを表現してくれたと思う」と一定の手応えを口にしながらも、「相手がうちに合わせた戦術、システムを使ってきた中で、堅い守備をこじ開けるまでには至らなかった。次に向けて反省していきたい。映像を見直さないといけないが、単純にクロスが少なかった。シュートを打てるシーンもあったが、精度を高めていかないといけない」と満足する様子はなかった。

 

◆懸念は過密日程による疲労

走力を使うチームにとって、不安要素は疲労だろう。昨シーズンは新型コロナウイルスの影響でJ2への降格はなくJ2からの昇格のみだったため、今シーズンは2チーム多い全20チームによるリーグ戦となる。試合数は例年より4試合多い38試合となることに加えて、東京オリンピックによる中断期間があるため過密日程となる。鳥栖はシーズンを通じて「ハイプレス」を展開し、台風の目となれるのか注目される。

By New Road 編集部

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