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◆聖地の決勝でも「タイブレーク」
あす開幕するセンバツ高校野球は、決勝もタイブレークが導入される。タイブレークは2018年のセンバツから始まり、夏の甲子園や地方大会でも採用された。しかし、決勝だけは延長15回まで通常通りに試合を進め、引き分けの場合は再試合としていた(再試合では延長13回からタイブレーク)。
2018年のセンバツでは延長12回を超える試合はなく、甲子園で初めてタイブレークが適用されたのは、2018年の夏だった。大会2日目の第4試合、旭川大高校(北北海道)と佐久長聖(長野)による1回戦は、延長12回を終えて4-4の同点。延長13回、無死一、二塁から始まるタイブレークは両チームともに犠打を失敗するなど無得点だった。
延長14回、先行の佐久長聖は1番打者のバントが内野安打となって満塁。続く打者のセカンドゴロの間に1点を勝ち越した。その裏、旭川大高を無得点に抑え、5-4で勝利した。
◆夏の甲子園では劇的結末
この夏2回目のタイブレークは劇的な幕切れとなった。星稜(石川)と済美(愛媛)の2回戦。済美は8回に一挙8得点で6点差をひっくり返したが、9回に星稜が2点を奪って、9-9の同点とした。延長は12回まで両チーム無得点でタイブレークへ。延長13回、先行の星稜は、フィルダースチョイスとスクイズで2点を勝ち越した。その裏、済美は先頭打者の内野安打で満塁とすると、1番・矢野功一郎の逆転満塁ホームランで試合を決めた。
星稜は翌2019年の夏の甲子園でも、タイブレークを経験している。智弁和歌山との3回戦は、延長12回を終えて1-1の同点。タイブレークとなった13回は、両チームともに無得点。14回表を無失点に抑えた星稜は、その裏に1アウト二、三塁から6番・福本陽生がサヨナラ3ランを放った。星稜のエース奥川恭伸(現在:ヤクルト)は3安打1失点、23奪三振で14回を完投した。
過去の甲子園決勝では、1969年夏の松山商と三沢や、2006年夏の早稲田実業と駒大苫小牧の引き分け再試合など、歴史に残る激闘があった。そのため、「決勝くらいはタイブレークを適用せずに、決着がつくまでとことん戦った方がいいのではないか」という声もある。
タイブレークは選手の体力や肩・肘の消耗などを考慮し、試合を早く決着させる目的で導入された。また、地方大会で球数制限を導入する動きも広がっている。今後、高校野球はタイブレークや球数制限を想定した戦い方やチーム作りが求められる。
スポーツメディア「New Road」編集部
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