目次
◆NPBでは2選手が両リーグで首位打者
今オフFA市場で目玉の1人となっているのが、DJ・ラメーヒューだ。ヤンキースに所属していた昨シーズン、両リーグ最高の打率.364で首位打者に輝いた。ロッキーズ時代の2016年にも獲得したタイトルで、両リーグで首位打者となったのは史上初の快挙となった。参考までに日本では、江藤慎一(中日で2回、ロッテで1回)と、今シーズンからヤクルトでプレーする内川聖一(横浜で1回、ソフトバンクで1回)の2人が達成している。
一般的に右打ちよりも一塁ベースに近い左打ちは、安打を重ねやすいといわれている。実際、メジャーの生涯打率トップ10には、1位のタイ・カッブをはじめ、テッド・ウィリアムズやベイブ・ルースら、左打者が8人並んでいる。過去20年を見てみると、2001年から2010年まで10年間のシーズン最高打率は以下のようになっている。
2001年 ラリー・ウォーカー(左)
2002年 バリー・ボンズ(左)
2003年 アルバート・プホルス(右)
2004年 イチロー(左)
2005年 デレク・リー(右)
2006年 ジョー・マウアー(左)
2007年 マグリオ・オルドネス(右)
2008年 チッパー・ジョーンズ(両)
2009年 ジョー・マウアー(左)
2010年 ジョシュ・ハミルトン(左)
イチローを含めて左打者が多く、右打者は3人しかいない。しかし、左打者優位の傾向が最近10年では一変する。
2011年 ミゲル・カブレラ(右)
2012年 バスター・ポージー(右)
2013年 ミゲル・カブレラ(右)
2014年 ホセ・アルトゥーベ(右)
2015年 ミゲル・カブレラ(右)
2016年 DJ・ラメーヒュー(右)
2017年 ホセ・アルトゥーベ(右)
2018年 ムーキー・ベッツ(右)
2019年 ティム・アンダーソン(右)
2020年 DJ・ラメーヒュー(右)
複数回タイトルを手にしている打者もいるが、両リーグで最も打率が高かったのは全員が右打ちとなった。一方、日本のプロ野球でも同じことが起きているのか。2001年からの10年間を見ると、右打者でシーズン最高打率を記録したのは、2008年の内川しかいない。この年は右打者として歴代最高打率.378をマークしている。
さらに、この間、両リーグ合わせて首位打者に輝いた20人のうち、内川を含めた右打者は2003年の今岡誠(阪神)、2005年の和田一浩(西武)、2008年のリック(楽天)、2009年のラミレス(巨人)の5人だけ。圧倒的に左打者が多い。
2011年からの10年間は以下の通りとなった。
2011年 内川聖一(右)
2012年 阿部慎之助(左)
2013年 長谷川勇也(左)
2014年 マートン(右)
2015年 柳田悠岐(左)
2016年 坂本勇人(右)
2017年 宮崎敏郎(右)
2018年 柳田悠岐(左)
2019年 鈴木誠也(右)
2020年 吉田正尚(左)
右打者と左打者が5人ずつで半分になった。この間の両リーグを合わせた首位打者20人を見ると、右打者が8人、左打者が12人と大差はない。興味深いのはセ・リーグとパ・リーグの傾向が全く違うところだ。
パ・リーグは9年連続で左打者なのに対し、セ・リーグは10年のうち7年が右打者となっている。メジャーほど顕著な変化は見られなかったが、その前の10年間やそれ以前と比べると、日本の首位打者も右打者が増えているといえる。
メジャーでは今シーズン11年ぶりに、左打者が両リーグトップの打率を残すのか。日本では今後“右打者優位”の時代が到来するのか注目だ。
スポーツメディア「New Road」編集部
読者の皆さまの心を揺さぶる、スポーツのさまざまな情報を発信しています!