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◆SNSで侮辱か 30代男を書類送検
女子プロレスラーでフジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんをSNSで侮辱したとして、福井県に住む30代の男が書類送検された。警察によると、この男は昨年4月、木村さんのツイッターに「死ねやくそが」、「きもい」など4回にわたって投稿した。男は「多くの誹謗中傷が投稿されていたので、自分も書き込んだ」などと話しているという。
木村さんが出演していた「テラスハウス」は複数の男女が共同生活する番組。プロレスの衣装を誤って洗濯した男性に対して、木村さんが怒りをぶつけたシーンが放送された昨年3月末以降、SNSでの中傷が相次いでいた。木村さんは約2カ月後の5月、都内にある自宅マンションで心肺停止の状態で見つかり、その後死亡した。自殺とみられている。
◆時効期間や罪の軽重に疑問
この問題をめぐり、侮辱容疑で書類送検されたのは2人目となった。侮辱罪の公訴時効は1年。時効2日前の立件に、インターネット上では「SNSを使って匿名なら逃げ切れると思っている人たちへの警鐘となる。警察の意地を感じた」、「これでSNSによる誹謗中傷が少しは減るのではないか」といったコメントが投稿された。
一方、時効期間や罪の軽重について疑問の声が多く上がった。書類送検された男は匿名での発表だったことに対し「時効の延長や撤廃、実名や顔写真の公表くらいしないと、同じようなことが続くのではないか」、「今回は被害者が有名人だったので警察も動いた感じがある。一般の人に対するSNSの誹謗中傷を減らすには、システムや法律の整備が必要」、「侮辱罪がどれだけ軽い罪なのか理解した。怒りを通り越して呆れてしまう。これでは抑止力がない」などの意見があった。
専門家は「今回の問題を通して国や司法がSNSによる誹謗中傷と向き合うきっかけになる可能性がある」と指摘する。あおり運転が厳罰化されたことを引き合いに出し「今のままではおかしいという声が大きくなっている。今やSNSは生活の一部となるほど身近で、それに伴う問題が増えている。法改正の必要性などは議論されていくだろう」と指摘した。
短い言葉であっても、人を傷つけることも、人を救うこともできる。わずかな想像力があれば、その言葉による影響は分かるはず。罪を科さなければ無責任な書き込みや誹謗中傷が減らない現状に、22歳で死を選んだ木村花さんは何を思うのだろうか。
スポーツメディア「New Road」編集部
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