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◆40人に1人が「心の病気」
行方が分からなくなっていた中日の前2軍投手コーチ門倉健氏が、横浜市内の自宅に戻った。妻・民江氏が7日門倉氏のブログを更新し「昨夜、無事、自宅に戻りましたことを謹んでご報告申し上げます。皆様にはこれまでご心配をおかけし、大変申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます」とつづった。
ブログの中では「医師の治療を要する状況と思われたため、本日、医師の診察を受けうつ病と診断がありました。当面の間、治療と静養が必要な状況です」と門倉氏がうつ病と診断されたことと記されている。
うつ病と言えば、今月、女子テニスの大坂なおみが全仏オープンの記者会見を拒み、その後にうつ病の苦しんでいると発表した。「メンタルも強い」という印象がある世界トップレベルのアスリートの告白に、日本だけでなく世界で驚きの声が上がった。
門倉氏も現役時代、中日や横浜などで活躍したプロ野球選手。2人のうつ病が明らかになった経緯については疑問を投げかける声も小さくないが、アスリートもメンタルの病気と無縁とは言えない。
厚生労働省の統計では「心の病気」とする「統合失調症」、「気分障害」、「神経症性障害」などによる患者数は、2017年は290万人に上っている。10年前と比べて50万人近く増加し、人口の40人に1人が「心の病気」で治療している計算になる。アスリートも当然、精神的なストレスがあるだけでなく、誰でも患者になり得る数字が出ている。
◆3つのうつ病予防策
厚労省は、うつ病の予防に3つの点を提言している。まずは「ストレスの軽減」。ストレスが高まると肉体的にも精神的にも変化が現れる。体がだるい、眠れない、気分が晴れない、落ち着かないなどの異変を感じた時は、その原因になっていることを軽くする。また、本人が体調や気持ちの変化に気付かないケースもあるので、家族や職場の仲間からの言葉に耳を傾ける必要がある。
次に「相談」。ストレスの原因が仕事内容や人間関係であれば、職場の上司や仲間に相談する。うつ病の前兆を感じた時には、専門家や公的機関への相談が重要。その際は負担を感じないように、内容を整理してから話をしようとせず、今の状況をそのまま伝えた方がいいという。
3つ目は「情報」。うつ病にならないための生活習慣や心の持ち方を事前に知っておくことが予防となる。また、異変を感じた時の対処法を症状が出る前から理解しておくと、重くなるのを防ぐこともできる。自分の心の状態を知るために、簡単なチェック項目を定期的に答えるのも有効。心の変化に気付くきっかけとなる。
ただし、これは「可能性」であって「診断」ではないので、変化を感じたら専門家に相談する必要がある。
スポーツメディア「New Road」編集部
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