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◆銀メダリスト太田氏任期満了

日本フェンシング協会は19日、理事会と総会で新しい理事の体制を承認した。2008年の北京、2012年のロンドンと五輪で2大会連続銀メダルを獲得し、会長を務めていた太田雄貴会長が4年の任期を満了した。

 

太田氏が会長のバトンを渡したのは、親交のあるタレントの武井壮氏だった。選考理由を「リーダーシップやビジョン、発信力があり、ようやくこの人と思えたのが武井さんだった。競技人口を増やすという点では改革は道半ばだが、武井さんのアイデアで新しいファンを獲得し、フェンシングからスポーツ界に一石を投じていくことを期待している」と説明した。

 

タレントとして活動している武井氏は、陸上日本選手権の10種競技で優勝した経験がある。未経験のフェンシングで組織のトップに就くことについて「会長ではあるが、1人のアイデアマンとしてより多くの人に競技を愛してもらえるように頑張っていきたい」と意気込んだ。

 

異例ともいえるタレントの起用。スポーツ紙の記者は「関係者の中には賛成する人もいるが、反対の声の方が大きい」と話す。「競技の知名度を上げるためにタレントは一定の効果がある」と期待する一方、「武井氏自身の知名度がそれほど高くない。やっていた競技も10種競技とメジャースポーツではない」「武井さんが注目されるのは世論と感覚がずれた発言や、やや過激な発言をしたときが多い印象」など不安視する人も少なくないという。

 

◆タレント武井氏起用の理由は

異論がありながらも武井氏が会長に就く背景には、主に2つの理由を指摘する。1つは、太田氏の影響力。日本のフェンシング界では、太田氏の知名度は抜けているため「太田さんが武井さんを強く推していた。人事でもめれば、発信力のある太田さんの発言や考えが世間に浸透し、今後の競技運営に悪影響が出ると協会内から声が出ていた」と語った。

 

そして、もう1つは理事の人数。武井氏の会長就任とあわせて、再任7人と新任13人の協会理事も発表された。前出の記者は「競技人口の規模に対して、理事20人も必要なのかという声もある。この中にはフェンシング経験者も、他の競技の元トップ選手も、スポーツ以外の専門家も含まれている。協会には武井さんに広報活動、競技の知名度アップに専念してもらえばいいという考えもある」と話している。

 

どんな人事も賛否両論がある。会長にふさわしいかは武井氏自身が証明するしかない。

By New Road 編集部

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