サーフボードと言われる板の上に立ち波に、乗るアクティビティであるサーフィン。その発祥はハワイで歴史は古く、1500年以上前からあったと言われている。1779年にイギリスの海洋探検家であるキャプテン・クックが、海でサーフィンをしている島民の姿を日記に書いたのだとか。日本では1960年頃から湘南や千葉でサーフィンするアメリカ人が見かけられ、これに興味を持った人々が始めて全国に広がっていったと言われているのだ。
そんなサーフィンが、東京五輪から正式種目として採用された。競技としてどのようなルールや見どころがあり、どんな選手が出場するのか。ここで詳しくご紹介しよう。
目次
サーフィンの競技概要
サーフボードには、さまざまな種類の長さと形がある。サーフィン競技としては183cm前後の「ショートボード」と274cm以上の「ロングボード」というカテゴリーがあり、オリンピックで採用されているのは「ショートボード」だ。波に乗るときに「パワー」「スピード」「テクニック」が重視され、乗っている際の速さや繰り出される技、飛び散る水飛沫(スプレー)の多さ、さらに空中に飛び出す「エアリアル」や巻き上がる波のトンネルを進む「チューブライディング」など技術の高さなどを反転。また、力強さや華麗さ、一連の動作のスムーズな繋がり等を5〜7人の審判が採点し、その平均点で選手の勝敗が決まる。
通常の大会はトーナメント方式で、1ラウンド(1回戦)に複数のヒート(試合)が設定。1ヒートは試合時間20〜30分(気象条件等で変わる)が設定され2〜4人が同じヒートで競う。予選では、1ヒート4人で得点上位2名が次のラウンドに上がっていくシステム。そして、準決勝や決勝は1ヒート2人だけの対決になる。東京五輪では、1回戦目だけは各ヒート下位2名の選手は敗退ではなく、敗者復活枠としてまた別にヒートが組まれ、トーナメントを勝ち上がれる可能性が残っている。
<ルール>
5〜7人いる審判が一人10点を最高得点に評価し、その平均が1つのライディングの得点となる。1ヒートで1選手が乗れる波は10〜15本に限られ、勝敗をつけるのは高得点のライディング2本だけ。ただし、試合時の気象状況等によって臨機応変に変更される。
<優先権(プライオリティ)>
選手が波に乗る際には1つの波に1人しか乗れない。そこで1ヒート内で優先順序が与えられ、優先権が高い選手が波に乗るアクションを行ったと判断されたら、ボードの上に立たなくても優先権が次の序列の選手に移る。そして、全員が優先権を使ったらまた最初の選手に優先権が移ると、また順番に繰り返される。
<妨害(インターフェアレンス)>
優先権のある選手が波に乗るための準備動作を邪魔する、または優先権が低いのに優先権の高い選手が乗ろうとする波を奪って波に乗るなど、妨害行為をすると減点対象となりペナルティを科せられる。
東京五輪|サーフィンの競技日程
7/25(日)7:00~16:20
- 男子第1ラウンド(第1~5ヒート)
- 女子第1ラウンド(第1~5ヒート)
- 男子第2ラウンド(第1・2ヒート)
- 女子第2ラウンド(第1・2ヒート)
7/26(月)7:00~16:40
- 女子第3ラウンド(第1~8ヒート)
- 男子第3ラウンド(第1~8ヒート)
7/27(火)7:00~14:20
- 男子準々決勝(第1~4ヒート)
- 女子準々決勝(第1~4ヒート)
- 男子準決勝(第1・2ヒート)
- 女子準決勝(第1・2ヒート)
7/28(水)8:00~11:35
- 女子3位決定戦
- 男子3位決定戦
- 女子決勝戦
- 男子決勝戦
※上記以外に予備日あり(7/29~8/1)
東京五輪|サーフィンの日本人出場選手
<男子>
五十嵐カノア(いがらし かのあ 1997/10/1生)
五十嵐カノア選手は米国カルフォルニアを拠点に、プロ最高峰の世界ツアーWSL主催のWCT大会に出場。上位勢で何度も大会優勝している。世界ランク6位。
大原洋人(おおはら ひろと 1996/11/14生)
大原洋人選手は大会会場である千葉県一宮出身。世界各地で行われる世界ツアーWSL主催WQSサーフィン大会に出場し、結果を残している。WQSアジアランキング5位。
<女子>
前田マヒナ(まえだ まひな 1998/2/15生)
前田マヒナ選手は日本国籍のハワイ出身。世界ツアーWSL主催WQSサーフィン大会で活躍し、結果を残している。WQSアジアランキング2位。
都筑有夢路(つづき あむろ 2001/4/5生)
都筑有夢路選手は神奈川県出身で他の3人に比べると、サーフィンを始めたのは11歳と遅い方だ。しかし16歳からは世界ツアーを周り、WCT世界ランクは18位。
※ランキングは2021年7月20日時点
まとめ
海や自然が舞台となるサーフィン。不規則に入る波の中でも一際大きくやってくる「セット」の波に乗り、空中に飛び出す「エアリアル」など高難度の技を繰り出して成功させるかどうかが見どころの一つだ。また、大きな波は当日の気象、潮の干満によっても変わる。もし人の背丈より大きな波に乗るコンディションとなれば、迫力のある試合が見られるだろう。代表選手全員が、世界でも活躍している実力の持ち主。地元日本でのオリンピックということもあり、メダルへの期待が高まる。
▼参考
東京オリンピック公式サイト「サーフィン」
World Surf League(WSL)サイト「RANKING」
スポーツメディア「New Road」編集部
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