スポーツ競技としては良く知られているサッカーだが、東京2020パラリンピックでは「5人制サッカー」が行われる。5人制サッカーは、目に障害を抱えた選手が競技する種目もの。しかし実際には、目が見えていないと思えないほどの迫力だ。ここでは5人制サッカーについて、競技の概要や見どころなどを詳しく解説しよう。

目次

5人制サッカーの競技概要

5人制サッカーは、別名「ブラインドサッカー」とも呼ばれる種目。チームは全盲の選手4人と視覚障害の程度が低い、または目が見えるゴールキーパー1人の計5人からなる。なお、試合時間は前半後半で各20分だ。

ルールは基本的にフットサルと同じ。ただし、全盲ならではのルールがいくつかある。例えば4人のフィールドプレイヤーは障害の程度差をなくすために、アイマスクの着用が義務付けられていること。また、コートの広さはフットサルと同じだが、ボールが外に出ないために高さ1mのサイドフェンスが設置されている点などが特徴である。

選手たちはボールから鳴る「シャカシャカ」という音や、ベンチから指示を出す監督、ゴール裏で距離や角度などシュートの指示を出すガイド、ゴールキーパーの声を頼りにプレーする。ボールを持った選手に近づく際には危険な衝突を防ぐため、スペイン語で「行く」を意味する「ボイ」というかけ声をかわし、これに違反するとファウルとなる。なお、日本からは交代選手も含め、8人の選手が出場する。

東京2020パラリンピックでの実施種目

5人制サッカーは、視力によって3つのカテゴリーに分けられている。その中でパラリンピックの競技種目となっているのは、全盲~光を感じられるまでの障害を持った選手が出場するB1クラス・男子のみだ。

5人制サッカーの見どころ

観戦前は、「目の見えない選手が、どうやってサッカーをプレーするのだろう」と疑問に思われるかもしれない。しかし試合が始まると、目を疑うほど迫力あるサッカーの試合が繰り広げられる。選手たちは声や音などの感覚や仲間との信頼感を頼りに、フィールドの正確なイメージを把握しながらプレー。全速力でフィールドを駆け抜け、力強くゴールを決める選手たちのプレーは、目が見えていないとは思えないだろう。東京2020パラリンピックでも、私たちの想像の範囲を超えたスーパープレーが見られるはずだ。

ゴール前の駆け引きにも注目したいところ。目の見えるキーパーに対し、どうやってゴールを決めるのか。これは各選手によって異なり、強いシュートを繰り出す選手もいれば、コースを狙ってシュートを打つ選手も。まさに手に汗を握る瞬間である。

なお、音を頼りにしてプレーする選手たちの妨げにならないよう、観客は静観を保つのがマナー。ゴールが決まったときのみ包まれる観客の大歓声は、ブラインドサッカーならではだ。東京2020パラリンピックは無観客が基本となるが、これを知っておくと、テレビやインターネットでも息をのんでプレーを見守る方が多いかもしれない。

パラリンピックにおける5人制サッカーで、日本は東京大会が初出場となる。競技歴15年のベテラン選手とエース選手を軸に、成長を見せる若手選手も加わってメダル獲得を目指す。 

東京2020パラリンピックでの競技スケジュール

東京2020パラリンピックでは、以下期間で5人制サッカーの試合が実施される。

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まとめ

5人制サッカーは、フィールド選手やキーパーだけで行われる競技ではない。監督やガイドのかけ声が必須のため、全員が一丸ととなって戦う姿が見どころだ。目が見えないながらも全力でプレーする選手たち。その懸命な姿と迫力あるプレーは、つい見入ってしまうだ。ご興味を持たれた方は、パラリンピック東京大会で5人制サッカーを観戦してみよう。

▼参考
東京2020公式ホームページ
パラサポWEB
日本ブラインドサッカー協会

By New Road 編集部

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