東京2020パラリンピックで実施される「カヌー(スプリント)」は、パドルをまるで身体の一部のように扱い、水面をまっすぐに力強く進む姿が見どころの一つ。そして今回、初めて正式採用された「ヴァー」という種目も行われる。ここで競技の概要やルール、魅力などをご紹介しよう。

目次

カヌー(スプリント)の競技概要

パラリンピックのカヌーは鍛え上げた上半身でパドルを漕ぎ、タイムを競う水上の短距離走だ。1つの艇(てい)に1人の選手が乗り、パドルという櫂(かい)を使って200mの水上を進む。出場するのは、下半身や体幹に障がいがある選手たち。障がいの程度によって3つのクラスに分かれている。

選手は障がいをカバーするために、ルールの範囲内で艇の改造が認められている。姿勢維持を目的として席の形状を変えたり、体を固定するベルトを取り付けたりと、艇にさまざまな工夫を施して試合に臨むのだ。なお、日本からは男女3人ずつの選手が出場する。

東京2020パラリンピックでの実施種目

東京2020パラリンピックで実施されるカヌー(スプリント)の種目は「カヤック」と、初めて正式採用された新種目の「ヴァー」だ。カヤックではスピードを出すために、先端が細い艇が利用される。バランスがとりにくい水上を、1本のパドルで左右交互に漕ぎながらリズミカルに進むのだ。

一方、ヴァーではカヤックよりも2m程度長い艇が使用され、バランスを保つために浮き具が付けられる。水かきが片側にしか付いていないパドルを使うため、まっすぐ進むのはとても難しい。さらに、幅4mのエリアを超えて失格にならないよう、高度なパドリングの技術が必要だ。

競技の見どころ

パラリンピックにおけるカヌーは、2016年のリオデジャネイロ大会から正式種目になった。瀬立モニカ選手が唯一の日本代表として出場し、8位に入賞している。水面をスピーディーに進む選手たちの姿は、見ていてとても気持ちがいいものだ。シンプルに速さを競う競技のため、艇は圧倒的なスピードで進む。もっと障がいの程度が軽いクラスは約40秒で勝敗が決まるため、一瞬たりとも目が離せない。

風向きを読みながら、艇・体・パドルが一体化したパドリングで、水面を力強く颯爽(さっそう)と進む姿に注目したいところ。パドリングのリズム、そして水や空気をかくリズミカルな音と合わせ、上半身の圧倒的なパワーによって出る艇のスピード感に魅了されることだろう。

クラスと内容

パラリンピックのカヌーでは、障がいの程度によって、3つのクラスに分かれる。

  • L1:体幹に障がいがあるため腕や肩の力を使って漕ぐ
  • L2:胴体と腕を使って漕ぐ
  • L3:脚や胴体、腕を使って漕ぐ

種目によって表し方が異なり、カヤックはKL1KL2KL3、ヴァーはVL1VL2VL3。東京2020パラリンピックにおいて、ヴァーは男子VL2VL3、女子VL2のクラスが行われる。

東京2020パラリンピックでの競技スケジュール

東京2020パラリンピックでは、以下期間でカヌー競技が実施される。

  • 92日(木)~94日(土)

まとめ

カヌー(スプリント)はパラリンピックの競技種目として、まだ歴史が浅い。加えて東京大会では、初めて「ヴァー」が正式種目に採用された。障がいを抱えながらも水面を力強く進む選手たち。そして、日本選手にもメダルの期待がかかるカヌー競技に、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。

▼参考
東京2020公式ホームページ
NHK東京2020パラリンピックサイト
パラサポWEB

By New Road 編集部

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