パデルはヨーロッパや南米ではポピュラーですが、まだ日本では知名度が低いスポーツです。 そこで今回は、まずスペインにおけるパデルについての数字をいくつかご紹介しましょう。
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スペインでは国民の約12%がパデルプレイヤー
スペインでプレー人口が多いスポーツを上から順に挙げると、テニスやバスケットボールを抜いてパデルは2番目。ちなみに、1位はサッカーです。ちなみに今回スペインを訪れ、実際に現地の人から話を伺ってみました。すると、バスケットボールもかなり流行っているようです。確かにバスケットゴールが街中にありますし、NBAのTシャツを着ている人も目につきます。
スペインの人口は約4,600万人で、パデル人口は約400万人。スペインでは、国民の約12%の人がパデルをプレーしています。これを単純に日本に置き換えると、日本の人口は約1億2,000万人ですから、パデル人口は約1,400万人ということに。こうなると野球やサッカー、テニス、ゴルフも抜き、ハイキング・水泳・ジョギングなど「老若男女誰でも気軽にできる運動」と肩を並べます。
「老若男女誰でも気軽にできる運動」は、その目的に身体を動かして健康維持すること、あるいはダイエットなどが主に挙げられるでしょう。
競技として取り組む場合は別ですが、一般的にパデルはコートが小さいこともあり、身体的にハードなスポーツではありません。それにもかかわらずWAY Padel Academyの発表しているデータによると、、実は1時間当たりの消費カロリー量がなんと886calと言われます (テニスは516cal、水泳は506cal)。
現在、日本では少子高齢化や医療費増大などが問題視されています。しかし、多くの方々がパデルをプレーするようになれば心身ともに健康になり、豊かな生活を送る人が増えるのではないか。そして、日本が幸福度ランキングで上位に行くような国になるのではないか…と、半分冗談で半分真面目に考えています。
日本でも、いずれパデルが身近になるはず
また、現地でパデル事業に関わっている人に話を聞くと、「パデルに関わっておけば大丈夫(儲かる)」という感覚があるようです。このことから、パデルが人を呼び、さらに人が人を呼ぶループになっているのだと感じました。一方で、パデル愛好家としてもメリットはたくさんあります。例えば前述した心身に良いということのほかに、「身近」「仲間が多い」「安い」などが挙げられるでしょう。まさに“三方良し”なスポーツなのです。
スペインは中心街であれば歩いて行ける距離、あるいは車で10分以内の距離に必ずと言って良いほどパデルコートやパデルクラブに出会います。先日、知人のマンションに遊びに行ったときもマンションの敷地内にパデルコートがあり、そこでレッスンが行われていました。それだけ、スペインでは身近にパデルをプレーできる環境があるのです。
さらに民営のパデルコートを借りてプレーする場合でも、90分プレーして1,000円でお釣りがくるほどコストがかかりません。もちろん、日本とは国土や建築基準、地価も違うので、単純に比較はできないでしょう。しかしこれだけの要素が揃っていたら、日本でも普及しないほうが不思議と言えます。
日本におけるパデルは、まだコート数もプレー人口も少ないのが現状です。しかし私は数年~数十年後、間違いなく日本のいたるところにパデルコートができていると思っています。さまざまな要素を考慮すると、国内で現在パデルと相性が良いのはテニス(コート)クラブです。スペインでも流行当初はテニス愛好家がパデルを始めたそうですし、コートの大きさや運営面などを考えると、群を抜いて相性が良いでしょう。もしパデルに興味のあるテニスクラブオーナーの方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。
テニスからパデルへ移行する選手も
最後に、スペイン国内におけるパデルの競技レベルについてお伝えしましょう。以前はテニスの方がプレー人口も多く、またプレーヤーの層が厚いため、トップに近づくならテニスよりパデルの方が可能性は高かったと聞いたことがあります。スペイン国内では、プロテニスプレーヤーがプロパデルプレーヤーに転向したという話も耳にしたことがあるほど。これは最近、スペイン以外の国でも起こっていることのようです。
テニスからパデルに移行してきた選手も昔は少なくなかったらしく、日本は今この状態に近くなっています。しかく、現在はパデルの方がプレー人口も多く、さらにプレーヤーの層が厚くなってきたため、パデルからテニスに移行する選手が出てきているようです。レクリエーションスポーツとしてだけでなく、競技スポーツとしても徐々に頭角を現してきているパデル。ぜひ皆さんも、一度お近くのパデルコートで体験してみてください。
2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。