これまで2回のコラムで、パデル界の現状など競技に関する概要はなんとなくお分かり頂けたのではと思います。そこで、今回はもう少し「競技としてのパデル」に目を向けてみました。なお、パデルについては日本パデル協会のホームページでも詳しく知ることができますので、ご興味のある方は合わせてご覧ください。
[参考]日本パデル協会
目次
パデルのワールドカップ「WORLD PADEL CHAMPIONSHIP」
パデルにも、サッカーのワールドカップのような国別対抗戦があります。2年置きに開催され、第15回大会となる今回の舞台はカタール。予選を含めると、日本含む全29か国で争われます。なお、本来は2020年開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期された形です。
サッカーのワールドカップと同様、まずは各地域で予選リーグを行い、勝率上位の国が本戦に駒を進めます。日本は「アジア太平洋」カテゴリーに入っており、このリーグの中の上位1チームのみが本戦に挑めるのです。(10月12日現在で予選参加国は未確定)。このアジア太平洋地域から本戦に出場するチームが勝ち進めば、今後本戦に出場できるチーム数が増えるのではないでしょうか。もちろん、私としては日本が本戦に行き勝ち進むのがベストです。しかし日本でなくとも、この地域の国が勝ち進めばアジア太平洋地域に割り当てられる本戦へのチケット数が増えると思われるため、そういった意味では私たちの地域が一丸となって世界に挑んでいきたいところです。そうすれば、パデル強豪国の南米やヨーロッパの国々と対戦する機会が増えるので、アジア各国とパデル強豪国との差も少しずつ縮まっていくのではないかと思っています。
一方でパデルには、サッカーやテニスの国別対抗戦と異なる点があります。それは、団体戦の他に個人戦があるということ。団体戦では日本を代表して戦いますが、個人戦は基本的に代表メンバーに選ばれた選手全員が出場の権利を持ちます。また、いつもペアを組んでいるパートナーが代表内にいれば、一緒に出場することも可能です(ただし大会毎に概要が違い、今大会で個人戦は実施されません)。
パデル版UEFAチャンピオンズリーグ?「EUROPIAN PADEL CHAMPIONSHIP」
WORLD PADEL CHAMPIONSHIPに次ぐ大きな大会として、「EUROPIAN PADEL CHAMPIONSHIP」(ヨーロッパパデル選手権)が挙げられます。第12回大会は今年7月にスペインで開催され、全18か国で争われました。ヨーロッパ内ではやはりスペインが頭一つ抜け出た存在ですが、近年はフランスやスウェーデン、イタリアなどが力をつけてきています。
アジア太平洋最大の大会「ASIAN PADEL CUP」
日本人が出場できる最大の大会は、現在のところ「ASIAN PADEL CUP」(アジアカップ)です。新型コロナウイルスの影響で今年は開催できませんでしたが、2019年にインド・タイ・オーストラリア・カタール・中国・日本の6か国で争われました。この大会は団体戦(国別対抗戦)と個人戦があり、私はその両方に出場。キャプテンを務めた団体戦では決勝でオーストラリアに惜敗しましたが、個人戦の決勝ではそのオーストラリアペアに勝利し、初代アジアチャンピオンになることができました。
来年開催されるサッカーのワールドカップを誘致したことでも知られているように、近年カタールはスポーツイベントの誘致に力を入れています。これはパデルも同様で、スペインから著名なコーチを招へいするほか、パデル施設がドーハ周辺にいくつもできています。 また、「WORLD PADEL TOUR」に出場するカタール人も増えてきており、今後カタールが日本のライバルになることは間違いないでしょう。これは少し手前味噌になりますが、アジア太平洋地域初のWORLDPADELTOUR出場プレーヤーが実は私です。そういう意味でも、私にはアジアのパデル界を日本が引っ張っていきたいという思いがあります。
・参考:Japan makes history in WPT: Daisuke Shoyama will debut in Valladolid
「日本ランキング16位以内を目指そう!」
これまでご紹介したアジアカップやWORLD PADEL CHAMPIONSHIPに出場するには、当然ですが日本代表に選出される必要があります。では、どうやったら日本代表に選出される可能性があるのか。その方法には、以下などが挙げられるのです。
- 日本ランキング16位以内に入る
- 全日本パデル選手権で良い成績を残す
- 海外の主要な大会で良い成績を残す
- 在住の国や地域で良い成績を残す など
私自身はアジアカップとWORLD PADEL CHAMPIONSHIP、どちらも経験しました。日の丸のついたウェアを着て君が代を歌い、海外の選手と対戦するというのは、適切な言葉が見つからないくらい特別なものです。 今現在パデルを競技として取り組んでいる選手はもちろん、これから何か新しいものに挑戦したいという方がいたら、ぜひ挑戦してみてください。私は国内でコーチ活動もしていますので、パデルに興味が湧いた方はご連絡いただけると嬉しいです。もしかすると、2024年のパリ五輪で正式種目になるかもしれないオリンピック。一緒に盛り上げていきませんか?
2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。