パデルの勢いが止まりません。以前のコラムでもご紹介しましたが、2022年から国際パデル連盟(FIP)とプロサッカーチームのPSGを保有しているカタール・スポーツ・インベストメント(QSI)が新たなプロツアー「PREMIER PADEL」を立ち上げ、3月のカタール大会に続いて5月にイタリアでも開催されました。イタリア大会で会場に足を運んだ観客は約3万人。そして、この“パデル版グランドスラム”とも言える大会が、今度は7月(7/11~17)にパリで開催されます。
しかも、今度はテニスのグランドスラム「全仏オープン」の会場である「Roland Garros」で行われるとのこと。ATPやWTAなど、従来のテニスのプロツアーが開催される会場での開催は過去にもあります。しかし、テニスのグランドスラム会場でパデルのトーナメントが開催されるのは、パデル界にとって初のことです。
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今度はパデル版「MASTERS1000」
さらに8月には「PREMIER PADEL P1」という、テニスで言えばグランドスラムに次ぐ規模の大会「MASTERS 1000」の位置付けのような大会がスペインのマドリッドで開催。その翌週には、同じくP1がアルゼンチンでも開催されます。既存のツアーと比べると、PREMIER PADELは獲得賞金(と獲得ポイント)が桁違いです。これまではプロといえど、スポンサーがいないと選手生活を続けるのが難しかったパデル界。しかし、PREMIER PADELの登場によって、今後は以前より選手活動がしやすくなりそうです。
このように、順風満帆のように見えるPREMIER PADEL。しかし一つ気になるのが、2005年からプロツアーを開催している「WORLD PADEL TOUR(WPT)」との間に亀裂が入っていることで、今後法廷闘争になる可能性もあります。
PREMIER PADELが設立されるほんの少し前までは、従来別々だったFIPツアーとWPTのポイントを連動させる動きを見せていたのだから、これは無理もありません。成長著しい世界のパデルにおいて、これは関係者にとって大きな関心事です。
2026年愛知・名古屋アジア競技大会入りを目指して
国内に目を向けてみると、2022年にはすでに新しく星田(大阪府)と茅ヶ崎(神奈川県)にパデル施設ができました。さらに今夏、調布にも新たなパデル施設が誕生する予定で、少しずつですが全国各地でパデルができる環境が整いつつあります。
また、去年開催された「WORLD PADEL CHAMPIONSHIP(WPC)」が2022年もカタールで開催さ。なお、通常は2年毎に開催されますが、2020年大会はコロナの影響で2021年に開催されました。アジアアフリカ予選が9月に行われ、予選を通過すれば11月に本大会へ出場となります。現在、私はこの予選と本戦を視野に入れて練習に取り組んでいるところです。
さらに、これはまだ未確定ではありますが、2026年に名古屋で開催されるアジア競技大会に、パデルが正式種目として採用される可能性があります。同大会では40競技ほどが実施予定で、現在39競技が内定しているところ。 簡単ではありませんが、パデル界の未来のために日本パデル協会の関係者が奔走してくださっています。正式に競技入りすれば、間違いなくパデルは日本でも爆発的に普及することでしょう。
採用された場合、残っている時間は4年です。私が運営しているアカデミーの中には、パデルを始めて9ヶ月で日本代表入りした選手がいます。テニスやスカッシュ、バドミントン、卓球などで高いレベルで活躍していた選手なら、アジア競技大会のパデルで活躍できる可能性はあるでしょう。また、ヨーロッパでは2023年のヨーロッパ競技大会でパデルが正式競技に採用されていますし、国際パデル連盟は2032年のブリスベン五輪の参入も目指しています。 国内外どちらに目を向けても、パデルには流行る要素しか見当たりません。 ご興味のある方は、ぜひ一足先にパデル始めてみませんか?
[著者プロフィール]
庄山 大輔(しょうやま だいすけ) |
2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。