お正月の風物詩ともいえる箱根駅伝。毎年さまざまなドラマが生まれ、多くの人々を感動させてくれます。しかし、テレビなどで観戦していると聞き慣れない言葉が耳に入ったり、「どうして?」と思うような光景が目に飛び込できたりすることも。そうした専門用語やルールを知っていると、さらに箱根駅伝の楽しさが倍増するかもしれません。

皆さんが疑問に思いがちな点をピックアップし、解説としてまとめました。事前にインプットして、箱根駅伝の観戦に備えましょう。なお、箱根駅伝は通称で、正式な大会名は「東京箱根間往復大学駅伝競走」です。

目次

繰り上げスタート

中継地点で先頭から一定時間が経過した場合、まだ前区間の選手が中継点に到着していない大学は、タスキを受け取ることなく次区間の選手が一斉にスタートします。これは、コースである一般道を交通規制できる時間が限られているための対応です。具体的には、各中継地点で先頭から以下の時間が経過すると繰り上げスタートになります。

<往路>
・往路鶴見中継所:10分
・戸塚中継所:10分
・平塚中継所:20分
・小田原中継所:20分

<復路>
すべての中継所:20分

復路一斉スタート

各中継地点での繰り上げスタートとは別に、復路(6区)のスタートには一斉スタートのルールが設けられています。往路のゴールタイムが先頭から10分を超えた大学は、先頭の大学がスタートした10分後、すべての選手が一緒にスタート。ただし、繰り上げスタートとは異なり、この時点では自学のタスキを掛けて走ることができます。繰り上げタスキになるのは、あくまで各中継点で繰り上げスタートになった場合だけです。

繰り上げタスキ

各中継所で繰り上げスタートとなった大学は、自学のタスキを繋ぐことができません。繰り上げスタートになった大学は、黄色と白色のストライプの「繰り上げタスキ」を掛けて走ります。

中継所

選手が次区間を走る選手へとタスキを渡す場所です。前走者が一定距離まで走ってくると、その大学の次走者が呼ばれて中継線に並び、前走者からタスキを受け取ります。

花の2区

箱根駅伝は2区が花形区間とされ、「花の2区」「エース区間」と呼ばれます。各大学ともエースの選手を配置することが多く、大きな見どころの一つです。

関東学生連合

箱根駅伝に出場できなかった大学のうち、予選会で上位だった選手で組まれたチームです。なお、関東学生連合はオープン参加となります。

オープン参加

順位は付かない形で大会に参加することを示し、箱根駅伝では関東学生連合がこれに該当します。

給水

コース上には1区と6区を除き、各区間で2か所の給水ポイントが設けられています。設置位置は各区間の10kmおよび15km付近(9区は14.4km地点)、5区のみ7.1kmおよび15.8kmです。なお、給水所で使用できるのは、主催者が用意した水およびスポーツドリンクのみとなっています。

往路

初日に走る1~5区を「往路」と呼びます。各区間のスタート及びゴール、距離は以下の通りです。なお、往路を最初にゴールした大学は「往路優勝」となります。

  • 1区(21.3km):大手町・読売新聞社前~鶴見中継所
  • 2区(23.1km):鶴見中継所~戸塚中継所
  • 3区(21.4km):戸塚中継所~平塚中継所
  • 4区(20.9km):平塚中継所~小田原中継所
  • 5区(20.8km):小田原中継所~箱根・芦ノ湖駐車場入口

復路

初日に走る6~10区を「往路」と呼びます。各区間のスタート及びゴール、距離は以下の通りです。なお、復路は往路のゴールタイムによって、往路優勝の学校から時間差でスタートします。復路をもっとも速いタイムでゴールした大学が「復路優勝」です。

  • 6区(20.8km):箱根・芦ノ湖駐車場入口~小田原中継所
  • 7区(21.3km):小田原中継所~平塚中継所
  • 8区(21.4km):平塚中継所~戸塚中継所
  • 9区(23.1km):戸塚中継所~鶴見中継所
  • 10区(23.0km):鶴見中継所~大手町・読売新聞社前

総合優勝

往路と復路の合計タイムが、もっとも速かった大学が総合優勝です。そのため、復路を最初にゴールした大学が、必ずしも総合優勝になるとは限りません。過去には往路・復路とも優勝せず、総合優勝に輝いた大学もありました。

完全優勝

往路優勝と復路優勝を制した、あるいは1~10区すべて1位で走り切った場合、「完全優勝」と呼ばれます。

シード権

毎回、総合10位以内でゴールした大学は「シード校」となり、次回大会の予選会が免除されます。つまり、無条件で次回大会への出場権を得られるということです。そのため優勝だけでなく、シード権争いも一つの見どころになっています。

区間賞

各区間をもっとも速いタイムで通過した選手が区間賞です。

区間新記録

各区間を走った歴代選手の中で、もっとも速いタイムを切ると区間新記録の樹立となります。

山の神

山登り区間のある5区は最大の難所とされ、この区間を優秀な成績で制した選手は「山の神」の異名で讃えられます。

タスキの受け渡し

駅伝ではタスキの受け渡しについて、中継線から進行方向20mの間で手渡しするように決められています。そのため、例えば中継線手前からタスキを投げて渡したり、20mを超えた地点で渡したりしてはいけません。

メンバー変更

箱根駅伝では往路・復路のいずれも、当日のスタート1時間10分前までメンバーの変更が可能です。なお、変更できるのは全体で6名、1日あたり4名までが上限です。ただし、変更できるのは正選手と補欠選手との間のみとなり、正選手間で走る区間の変更はできません。

外国人留学生

外国人留学生は2名までエントリーできますが、実際に走れるのは1名のみです。

ゼッケン番号

箱根駅伝のゼッケンには「●―×」と2つの番号が記載されています。前半の数字は1~10が前回大会の順位、11以降は予選会の順位。後半の数字は1~10が選手ごとに走る区間、11以降は補欠選手となっています。

By 三河 賢文 (みかわ まさふみ)

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。

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