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◆巨人・原監督 DH制の導入提言
巨人・原辰徳監督が指名打者制度の導入を訴えているのは周知の事実だ。昨年の日本シリーズでソフトバンクに4連敗を喫した際、メディアを通じて、指名打者を起用することで1番から9番まで息の抜けない打線になり、投手の技術とメンタルが鍛えられるなどメリットを強調した上で、「相当、差をつけられている感じがする」とセリーグにも指名打者制度を取り入れることを提言している。
今年の日本シリーズはソフトバンクの要望で指名打者を全試合で導入することに。原監督はこの提案に賛同した。相手の土俵に乗ることは不利なのではという懸念もあったが、もっと大きな視点でプロ野球を考えているのだろう。結果的には2年連続でソフトバンクに4連敗を喫して日本一はならなかったが、「指名打者制度をセリーグも取り入れるべきでは」と議論が再燃することになった。
◆セパ両リーグ経験者 DH制で打力に差
横浜(現DeNA)、広島、西武でプレーした木村昇吾もパリーグに好投手が多いのは、指名打者制度が一因であると指摘する。「セリーグだと、7番、8番、投手が9番の打順だと投手から見ればラッキーイニングになるけど、パリーグは違います。投手の代わりに打つことに特化した強打者が入る。9番打者も1番打者のようなタイプの選手が入るので、すべてのイニングで息が抜けない。単純計算でラッキーイニングが9回のうち3度あるセリーグと、1度もないパリーグだと神経のすり減らし方が全く変わってくる」。
パリーグに剛速球を武器とした投手が多いのも必然だという。「パリーグの投手は指名打者が入った打線とシーズンで1年間、20試合以上対戦する。かわしていく投球ではごまかしきれないんですよね。力で押し切らないと長いイニングを投げられないし勝てない。投手の打順で代打を出されることもないのでセリーグの投手より投げるイニングも増えて、体も心もタフになる。指名打者制度は打線だけでなく、対戦する投手の能力が上がる点でもプラスアルファが大きいと思います」
以前は「人気のセ、実力のパ」と言われたが、この力の差は交流戦が導入された05年から如実に表れている。指名打者制度をセリーグも導入するべきか。原監督の提言を本気で考える時が来ているのかもしれない。
スポーツメディア「New Road」編集部
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