新型コロナウイルスの感染拡大で日常が大きく変わった2020年。プロ野球も異例のシーズンとなった。当初予定されていた3月20日の開幕は約3カ月延期。試合数は20試合以上減り、観客の入場にも制限が設けられた。選手はシーズンに向けて、コンディションや気持ちの維持が困難な中、複数の球団で選手の感染が確認された。感染した選手は一層難しい調整を強いられたシーズン。成績に影響が出たのだろうか。

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◆NPB初の感染は阪神

12球団で最初の感染が明らかになったのは阪神だった。3月に藤浪晋太郎ら3選手の感染が判明した。藤浪は感染の他、練習に遅刻したことで出遅れ、シーズン5度目の先発となった8月21日のヤクルト戦でようやく初勝利。その後、再び2軍に降格したが、9月にチーム内で複数の新型コロナ感染者が出たため緊急昇格し、リリーフで復調の兆しを見せた。シーズン終盤には先発としても結果を残したが、最終的には24試合に登板して1勝6敗、防御率4.01に終わった。ただ、2019年は登板わずか1試合、2018年は5勝3敗、防御率5.32。2017年は3勝5敗、防御率4.12と低迷していたことを考えると、今シーズンの成績に新型コロナ感染の影響があったとは言い難いところがある。

 

◆巨人の坂本も感染判明

主力級の感染者といえば、真っ先に挙げられるのが巨人の坂本勇人だろう。開幕3週間前に陽性が判明。退院から1週間で開幕を迎えたこともあり、序盤は調子が上がらなかった。それでも最終的に打率.289、19本塁打、65打点。坂本自身は異例のシーズンを「前半は調子が出なかったが、最後は盛り返すことができた。野球ができる喜びを感じ、多くの方に支えられて達成できたリーグ連覇」と振り返った。通算2000本安打を達成し、リーグ優勝にも貢献したが、新型コロナ感染で出遅れた印象は拭えない。出場試合数は28試合多かったとはいえ、去年は打率.312、40本塁打、95打点だったことを考慮すると、今シーズンも開幕から体調、試合勘ともに万全であれば、さらなる好成績が残せたと推測できる。

 

◆新型コロナから復帰後に成績上げた選手も

一方、10月に選手とスタッフ合わせて13人の感染者が出たロッテは興味深い数字が残った。感染者の一人となった清田育宏は感染前の打率が.258(132打数34安打)だったが、復帰後は同.333(48打数16安打)。ソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)は連敗で敗退したものの、クリーンナップの一角を担い、8打数3安打と存在感を見せた。

 

けがで出遅れた荻野貴司は今シーズン53試合に出場して打率.291。感染後の16試合の打率も.290とほぼ同じ。CSではリードオフマンとして8打数5安打と気を吐いた。来シーズンは新型コロナに左右されない1年となることを選手もファンも願っている。

By New Road 編集部

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