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◆新型コロナで65人の力士が全休
大相撲初場所は、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けて始まった。日本相撲協会は場所直前に横綱・白鵬の感染を発表。さらに、力士や親方ら協会員878人を対象にPCR検査を実施した結果、九重部屋の幕内力士・千代翔馬ら力士5人の陽性が判明した。大相撲は生活をともにすることから濃厚接触者も多く、計4部屋で十両以上の関取15人を含む65人の力士が全休となった。
◆初場所の関心はある力士の引退表明に
今場所最大の注目だった貴景勝の綱取りは事実上消滅。新型コロナによる異常事態の中、世間の関心は、ある力士の引退に集まっている。序二段20枚目で佐渡ヶ嶽部屋の琴貫鐵(ことかんてつ)は、初場所初日の前日となった今月9日、自身のツイッターで「コロナに怯えながら我慢して相撲をとるという選択肢は選べず引退を決意しました」とつづった。
◆「コロナが怖い」休場認められず引退
さらに、「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのは、さすがに怖いので休場したいと佐渡ヶ嶽親方に伝え、協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く、自分の体が大事なので」と続けた。本場所の休場は医療機関の診断書の提出が義務付けられている。
琴貫鐵は2015年3月からツイッターを利用しているが、2019年11月11日に「佐渡ヶ嶽親方に協会からお達しがあり、力士のSNS使用が禁止になりました。これからはRT(リツイート)といいねするだけのアカウントになります」と報告。その翌日には「RTもダメっぽいのでやめることにします。ありがとうございました」と投稿している。
◆禁止されたSNSで訴え
しかし、感染が広がる新型コロナへの恐怖からか、去年7月16日、8カ月ぶりにツイートした。東京都の警戒度が最高レベルに引き上げられるニュースをと合わせて「この状態で電車乗るの流石にやばいやろ。相撲協会は労災もおろしてくれないんだから、コロナになっても面倒見てくれないんでしょ。。。」、「お相撲さんも満員電車に乗って場所に行って、お客さんも電車に乗ってくるわけでしょ。そんで場所でコロナになってるかも分からない人達(他の部屋)と相撲取り合って、コロナになってるかもしれない。お客さん達が周りで移し合う誰が得してるの?協会だけじゃん得するの。お客さんの為?」(原文のまま)とつづった。
◆SNSで割れる賛否
これに対して、ツイッター上では賛否が分かれた。「誰かが声を上げないと実態は分からない」、「相撲協会は日本の体質を具現化している」と理解を示す声に対し、「悔しいですよね。ですが、これ以上言わない方がよろしいかと」、「感染のメカニズムを調べてみては?満員でも会話がなければリスクは無いですよ」と指摘する人もいた。
「力士を引退してTwitter禁止は無くなったと思いますので、今後引退を決めた話など、いろんな事をTwitterで発信していくと思います」とつづっている琴貫鐵。引退は個人の決断。そこに第三者が口を挟む権利はない。ただ、相撲協会のルールで禁止されているツイッターで主張する方法は、全面的に支持を得るのは難しい。一方、昨年7月に新型コロナ感染の怖さについての投稿があったにも関わらず、不安や問題を解消できなかった協会にも反省や検証が必要だろう。
スポーツメディア「New Road」編集部
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