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◆時短要請 元スポーツ選手の店も苦悩
新型コロナウイルスの猛威が止まらない。首都圏を中心に緊急事態宣言が出されているが、感染者の数は思うように減っていないのが現状だ。
国は感染拡大の要因に複数人での飲食を挙げている。対策として、飲食店に営業時間の短縮を要請している。飲食店にとっては経営に直結する深刻な問題。ただ、多くの店が要請に従わざるを得ない。
◆「営業も地獄 時短も地獄」
「毎日毎日、夜の街、夜の街って…コロナに感染するのは飲食店だけじゃないはず。どの店も要請無視して営業するのも地獄…時短営業するのも地獄…国も都も良く頑張ってくれてるのも分かりますが、政治家の皆さんも今こそ一致団結して共に前へ…」(原文のまま)。
◆デーブ大久保氏「負けねえぞ」
ツイッターで苦しい胸の内を明かしているのは、都内にある「肉蔵でーぶ」を経営する元プロ野球選手の大久保博元氏。西武と巨人でプレーし、明るい性格でムードメーカーとなり、「デーブ」の愛称で親しまれた。
大久保氏は水戸商業で高校通算52本塁打を記録し、1984年にドラフト1位で西武から指名を受けた。プロ通算303試合に出場して41本塁打。日本シリーズの9回2アウト、1ボール2ストライクから、高めのボール球を左中間スタンドに運ぶ同点ソロを放つなど、記録以上に記憶に残る選手だった。
◆ランチも休業 ネット販売で活路
時短要請に対して「諦めないぞ!負けねえぞ!」とつづった大久保氏。自宅で楽しめる焼肉セットをインターネットで販売することを始めた。しかし、苦境に追い打ちをかけたのが、新型コロナ対策担当の西村康稔大臣の発言だった。「昼間も含めて外出自粛をお願いしている。ランチはみんなと食べてもリスクが低いということではありませんので」。
これを受け、大久保氏の店は今週からランチ営業を休止。ツイッターで「夜営業も短縮されたうえ今度はランチもコロナ感染の危険あるって…必死で踏ん張ってる仲間の気持ちも考えずによく言ってるよ…」と投稿した。
◆信じるのは「肉の力」
それでも、大久保氏は「現役時代も沢山の失敗をした。自分の失敗で負けた時は心の肉離れをし夜も眠れなくなった。心の肉離れを治してくれたのはメンタルっコーチではなく馴染みのお店の方々や仲間だった…馴染みのお店で飲んだり食べたりするのが心の肉離れを治す最高の薬だった!俺も良い処方箋を出したい…共に前へ!」と必死に前を向いている。
◆苦悩する元スポーツ選手は他にも
元スポーツ選手が経営する人気店で苦境に立たされているのは、大久保氏の店だけではない。西武ファンなら知っている「ベイサイド東京牧場」も、時短要請に応じて、営業時間を午後8時までとしている。西武でプレーした2人の投手、石井貴氏と小野剛氏が共同でオーナーを務めている。
◆元大関の店も時短営業
元大関の店も頭を悩ませている。角界には新型コロナがまん延。大相撲初場所は横綱・白鵬ら、十両以上の関取16人が初日から休場した。両国国技館周辺には元力士が部屋自慢の味を提供する、ちゃんこ店が多数並ぶ。取り組みが終わった後、ちゃんこ店を訪れるのはファンの楽しみの1つ。しかし、場所中の書き入れ時も客足は大きく減った。
JR両国駅からすぐのところにある元大関・霧島の店「ちゃんこ霧島」も、営業時間を午後8時までに短縮している。ツイッターではテイクアウトやデリバリーを始めたことを伝えている。三賞を計12回受賞している技巧派力士で元関脇・安美錦から店名をつけた「安美」も、緊急事態宣言の期間となっている2月7日まで時短営業する予定だ。
収束の兆しが見えない新型コロナの感染拡大。飲食店は元スポーツ選手の知名度や、長年愛されてきた味だけでは乗り切れない厳しい状況に追い込まれている。
スポーツメディア「New Road」編集部
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