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◆森会長の後任に川淵就任へ

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞意を固めたと報道されている。「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」などの発言が、国内外から女性蔑視と批判を受け、責任を取った形だ。後任には、日本サッカー協会の元会長で選手村村長の川淵三郎氏が就く見通しとなっている。

 

Jリーグ・Bリーグに尽力

川淵氏は、サッカー日本代表として1964年の東京オリンピックに出場した。引退後は、1993年から始まったJリーグ創設に尽力し、初代チェアマンに就いた。2015年には、長年分裂していた男子バスケットボールの組織をまとめ、プロリーグ「Bリーグ」創設に導いた。

 

◆トップ交代にも残る疑問

川淵氏の功績や手腕を多くの人が認めている。今回の大役にも期待が寄せられているが、現状は国民の納得を得るには至らず疑問は残ったまま。最も批判の声が大きくなっているのは、川淵氏が「森会長を組織委員会の相談役に残す」とした発言に対してだ。インターネット上には「森氏が相談役に残るなら、組織として一体どれほどの変化があるのか疑問」、「海外でも森氏発言が問題にされているのに、組織に残したら何の解決にもならず逆効果」、「この状況で人情、同情は必要ない」、「川淵氏には忖度を打ち破ることが期待されているはず」といった厳しい声が並ぶ。

 

◆「森会長の人事権に違和感」

さらに、国民の不信感が払しょくできない理由は、森会長自身が後任を要請していること。そして、83歳の森会長から、84歳の川淵氏にバトンが引き継がれたことだ。これに対し「世界に恥をさらした森氏に人事権があるのは違和感がある」、「組織員会には、そんなに人材がいないのか」、「日本組織の悪しき部分を海外にさらすことになる」などの意見に賛同が集まっている。

 

◆川淵氏「無観客は意味がない」

川淵氏はオリンピック開催の可否ついて、持論を展開している。先月13日に自身のツイッターに「世界でコロナ感染収束の見通しが立たない中で東京オリンピックをどう考えるか。一番重要な事は日本国民に安全安心を担保して開催できるか否かだ」と投稿した。そして、「プロ野球、Jリーグ、大相撲、Bリーグがそれを最低限保証する。海外の観客には防疫の為の制約を課す。最悪の場合日本人のみ。無観客の開催の意味がない」と続けている。

 

川淵氏はマスコミの取材に会長受諾の意向を明らかにし、改めてオリンピック・パラリンピック開催への意欲を示している。報道各社の世論調査では、約8割が「中止」や「延期」を求める結果が出ている中で、開催を実現させることができるのか。オリンピック開幕まで半年を切った時期に、組織委員会トップが交代する異常事態で託されるバトン。国内外からの厳しい声が収まらない中、難しいかじ取りが迫られる。

By New Road 編集部

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