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◆1981年 戦後初の勝率10割投手
田中将大が8年ぶりに楽天に復帰した。日本球界最後のシーズン2013年は伝説となっている。開幕から無傷の24連勝で球団初のリーグ優勝に導くと、日本一まで駆け上がった。最多勝と最高勝率に加えて、防御率1.27でタイトルを獲得。2011年以来、自身2度目の沢村賞も受賞した。
勝率10割。実は戦後、田中の他に、もう1人無傷で最高勝率に輝いた投手がいる。間柴茂有。1969年のドラフト会議で大洋(現在のDeNA)から2位指名を受けて入団。1978年にトレードで日本ハムに移籍した。移籍4年目の1981年、27試合に登板して15勝0敗。2度の完封を含む9完投で「勝率10割」を戦後初めて達成した。防御率は3.46と、楽天時代の田中のように突出していないため、勝ち運に恵まれていたともいえる。
1990年に現役引退した間柴はプロ通算500試合で、81勝83敗2セーブ。黒星の方が多く、通算の勝率は.494と5割を切っている。「勝率10割」の翌年は、5勝10敗1セーブと大きく負け越し。1981年のシーズンが、いかに神がかっていたかが分かる。
◆昨季の巨人・菅野は13連勝でストップ
昨シーズン、3人目の「勝率10割」を期待されたのが巨人の菅野智之だった。開幕から13連勝。しかし、10月13日の広島戦で、6回4失点と崩れて黒星を喫した。最終的には14勝2敗、勝率.875だった。
◆2000年以降の「9割投手」は
2000年以降で、この菅野の勝率を超えているのは4人いる。2004年の岩隈久志(近鉄)と、2009年のゴンザレス(巨人)がともに、15勝2敗で勝率.882。この上をいく驚異の「9割超え」に到達したのが、2005年の斉藤和巳(ソフトバンク)と、2007年の成瀬善久(ロッテ)の16勝1敗、勝率941だ。斉藤は2003年にも20勝3敗、勝率.870の好成績を残している。
◆歴代最高は通算勝率.697
歴代最高勝率を記録しているのは、1955年まで巨人などで活躍した藤本英雄。通算200勝87敗、勝率.697だ。斉藤の通算勝率は.775、田中は.739と藤本より高いが、歴代記録の対象は通算2000イニング登板のため、斉藤も田中も対象から外れている。藤本に次ぐ歴代トップ5は以下の通り。
◎藤本英雄 勝率.697(200勝87敗)
◎稲尾和久 勝率.668(276勝137敗)
◎斎藤雅樹 勝率.652(180勝96敗)
◎杉内俊哉 勝率.648(142勝77敗)
◎杉浦忠 勝率.638(187勝106敗)
◆田中が狙うタイトルは「日本一」
田中が日本球界にいた7年間の通算投球は1315イニング。楽天と契約した2年間で、ランキングの対象となる2000イニング到達は現実的には不可能だろう。
「こだわりたいタイトルは日本一。自分がいい投球をしていれば、数字はおのずとついてくる。2013年で皆さんの印象は止まっている部分があって、求められているハードルは高いと思っているが、そこをまた飛び越えてやろうというところもやりがいの1つ」。復帰会見で力強く語った田中。ファンが思い描いているのは、無傷でチームを日本一に導いた2013年の再現。2度目の奇跡は不可能と思いながらも、「田中なら」と期待する人は少なくないはずだ。
スポーツメディア「New Road」編集部
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