日本オリンピック委員会(JOC)理事の山口香氏が2日、BS-TBSの報道番組「報道1930」に生出演し、東京五輪・パラリンピックの開催可否をめぐる発言について私見を語り、大きな反響を呼んでいる。
日本国内では新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあるが、世界各国ではまだ収束していると言えない国が多い。五輪の開催について反対する意見が少なくないのが現状だ。この状況について、山口氏は「私は国民に安心、安全ということを言うのであれば、『最後の最後でどうしてもダメな時は当然、中止もあり得ます』ということを言うべきだと思います。『どんな状況でもやる』と言われると、たとえば頂上が目の前にあるから、こんなに天候が悪いのに、荒れているのに、命がけで行くんだ、と言われているのと同じ」と指摘した。さらに、「引き返す勇気は当然、お持ちだと思うんです。それを伝えてくれないと、やることありきで進んでいるんじゃないかと感じてしまうと思う。そういうことを言うと、不安をあおると感じられていると思うんですけど、私は逆だと思う」とも訴えた。
山口氏は日本人女性柔道家として史上初の金メダルを獲得し、88年のソウル五輪でも銅メダルに輝くなど現役時代はトップアスリートとして活躍してきた。五輪に出場したい思いは誰よりも感じているだけに、その発言は重い。
ヤフーのコメント欄には、「山口さんの言われる通りだと思います。五輪は開催することありきで、中止という選択肢に五輪組織委もJOCも政府も言及しないから、かえって国民が反発している、ということに気がつかないのでしょうか?JOCにも、山口さんのように真っ当なことを言う理事さんがいるだけ、まだましかもしれませんが…」、「山口香JOC理事、貴女の言っていることはいつも筋が通っていると思います。どうか、『組織の圧』に負けないように発信を続けてください。そういった意見を応援したい人の方が多くいることを証明しましょう!」など山口氏を激励するコメントが。
一方で、「正論だと思いますが、日本から中止を言い出すのは大変なのでは?IOCと都が結んでいる『開催都市契約』の第9条で、大会に関しどんなトラブルが起きようとも、都らは、IOCおよびその関連会社に発生する損害を補償し、免責し、防御する義務を負っているとあります。よって、日本側から中止を言い出せば、少なくともIOCの重要な基盤となっている米TV局の放映権料(約1200億円)を補填する金額が請求されることが考えられます。オリンピックを開催しないにもかかわらず都民/国民の税金からそれだけの額が支払われることに対して都民/国民は納得するでしょうか?中止したらしたで、それで新型コロナ対策出来たでしょ!って文句言う人の方が多いのでは?IOC側の中止判断がない限り、無観客でも開催した方が良いという判断があっても不思議ではないと思うんですけどね。中止判断をした際のメリット・デメリットを合わせて伝えると良いのでは」という。
スポーツメディア「New Road」編集部
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