プロに入団してくる投手たちの中には、打撃センスも高くアマチュア時代に4番打者を務めていた選手が少なくない。セ・リーグは投手も打席に立つため、「9番目の野手」として打撃や犠打などをきっちりこなす技術が求められる。野手顔負けの打撃センスを誇る投手たちに注目して野球観戦するのも面白いかもしれない。
昨年11勝をマークした阪神・秋山拓巳は17年8月18日の中日戦で驚愕の一撃を放っている。秋山は右腕だが打席は左に入る。伊藤準規の144キロ直球を振りぬくと、ライナー性の打球は広いナゴヤドームの右翼席中段へ。打った瞬間に本塁打と分かる打球で右翼は一歩も動かず球場がどよめいた。秋山は18年5月8日の巨人戦(東京ドーム)でも、山口俊(現ブルージェイズ)の144キロ直球を逆方向の左翼席に叩き込んでいる。愛媛・西条高では「4番・エース」で投打の大黒柱だった。他球団のスコアラーも「秋山は投手だと思って対戦していない。少しでも甘く入れば長打を打たれる。投手なので内角にガンガンいくのは難しいかもしれないけど攻めないといけない」と警戒を口にする。
同僚の西勇輝も打撃センスに定評がある。昨季は開幕戦で巨人のエース・菅野智之から東京ドームの左翼ポール上部に直撃する特大弾を放った。西は相手球団のエースと激突する機会が多いだけに、白星を稼ぐ上で投球だけでなく打撃もカギを握りそうだ。
パリーグで打撃センスの評価が高いのが上原健太だ。身長192センチ、83キロの恵まれた体格からの豪快な打撃でミート能力も高い。ドラフト指名時には栗山監督が「二刀流」の起用を示唆するほど、打撃の評価が高かった。18年6月27日の広島戦(マツダ)で福井優也(現楽天)から右翼席に弾丸ライナーのプロ初アーチを放っている。本職の投球でも球威十分の直球を持っているが昨年1勝のみ。先発の台所事情が苦しいだけに、今年はチャンスをつかんで飛躍の年にしたい。
スポーツメディア「New Road」編集部
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